ワルシャワそしてサンクトペテルブルグ <前編>
2018/09/21
“中欧のパリ“、そして”ショパンの街“ワルシャワへ
中欧のパリ、ポーランドの首都ワルシャワを訪れたのは2017年6月の上旬、緑が濃さを増し街に光があふれる1年で一番過ごし易い季節だった。
何度も戦禍に遭いその都度復興してきた奇跡の街。第2次世界大戦ではほとんどの建造物が跡形もなく破壊されたが、市民の努力により美しい街並みが忠実に再現された。
ピアノの詩人ショパンが半生を過ごし、キュリー夫人が生を受けた街。滞在は1日だったが、歴史地区を巡りポーランドの雰囲気は十分に味わえた。快晴で18℃と天候は申し分ない。茶色い建物の旧王宮前の広場では大勢の若者たちが整列し、音楽に合わせて踊っていた。自由選挙(参政権)が認められ戦後初の非共産党政権が誕生して28年の記念日を明日に控え、今日行われる大規模なパレードの練習か?
聖十字架教会で結婚式に遭遇
大戦を生き抜いたバロック教会、ワルシャワ大学の白い正門を巡り、ショパンの心臓が埋められた柱のある聖十字架教会に入場すると、結婚式を挙げるカップルが入って来た。市民自慢の美しいワジェンキ公園には、土曜日とあってたくさんの市民が憩い、ショパン像のある水上公園には白い綿毛が舞っていた。
◆写真上段:聖十字架教会で結婚式を挙げるカップル 下段左:聖十字架教会、中:ショパンの心臓をおさめた柱、大戦中一時ナチスによって持ち出されたが、大戦後元の場所に戻された。右:ワジェンキ公園のショパン像
世界遺産――ワルシャワ旧市街
広い旧市街広場には剣と盾を持った人魚像がある。ワルシャワの漁師に助けられた人魚が、町を守ってくれているとの伝説がある。広場の池の周りで遊ぶ家族連れの姿はどこの国も同じである。
◆写真上段左:旧市街広場、右:旧市街広場の剣と盾を持った人魚像 下段の2枚:ワルシャワ市内
旧市街の北にあるバロック様式で建てられた半円筒型の砦跡バルバカンを観てさらに北に進むと、キュリー夫人生家に行きあたる。今は博物館として公開されている。
◆写真上段:16世紀に建てられたバルバカン砦跡 下段左:洗礼者ヨハネ大聖堂、右:大聖堂前の結婚式を挙げたカップル
ソビエト支配時代の象徴――文化科学宮殿
市内のどこからも見える高さ234mの塔を備えた37階建てのビルがある。スターリンからの贈り物として建てられた文化科学宮殿。調和のとれたワルシャワの街に突き出たこの建築物は違和感を与え、市民にも「ソビエトが建てたワルシャワの墓石」と評判が悪い。
◆文化科学宮殿(ソヴィエトが建てたワルシャワの墓)
夕食に食べた煮込み料理リボスは味噌のような塩味と酸味で口に合わず大半を残す。メインのコトレット(とんかつ)も硬くて閉口。ポーランドビールも美味しくない。300mlで10ズロチ(350円)。
過去、周辺諸国の侵攻により何度も地図の上から姿を消し、その度に甦ってきたポーランド。その歴史は苦難の連続だった。古都クラクフの西54㎞のアウシュヴィッツには150万人が殺害された強制収容所跡がある。私には訪れる勇気がない。
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