ボヘミアの古都プラハ・ベルリンとドナウ旅情(6)
2022/09/01
午後1時50分、フリータイムとなり、同行の人たちを案内してオペラ座方向へ向かう。途中、残った500チェコ・コルナをユーロに両替する。15ユーロくらいになると思ったが、13ユーロ弱。
豪華なオペラ座の内部を見てもらいたかったが、見学ツァーは明日行われるという。モーツァルト像を見て、ウィーン美術史博物館へ。初夏のような暑い日が続いて、入館前に2階ホールにある1847年創業の、王室御用達カフェで一息いれる。大理石の柱や華麗な壁画を眺めながらのアイスコーヒーは格別。同行の人たちも世界一美しいといわれる豪奢なカフェに感激していた。
ウィーンの魅力は何といってもカフェ。かつてトルコ軍の残していったコーヒーはカフェ文化をウィーンにもたらした。朝刊を読む人、議論する人、物思いにふける人……。名物のスイーツザッハトルテ(チョコレートケーキ)を妻とシェアーして味わう。アイスコーヒー2人分と合わせて14ユーロ(2,380円)。
◆左・右上)博物館内のカフェ、右下) ザッハトルテ ウィーンを代表するチョコレートトルテ
◆オペルリングに面するゲーテ像 思索にふけるような表情
ウィーン美術史博物館は、ウィーン中心部を取り巻く城壁を取り壊しリング通りを建設した1857年に、ハプスブルク家の美術品を収蔵するために建てられた。所蔵する絵画、美術工芸品のコレクションは、ヨーロッパの美術館の中でも最大級。ルネサンスに始まり、18世紀を代表するロココ絵画を作者別に展示している。なかでもルーベンス、レンブラント、フェルメールなどのコレクションは他に類を見ない。
◆左) ルネサンス様式のウィーン美術史博物館 同行の人を案内して、右) ウィーン美術史博物館入り口
ルネサンス様式の建物は、外観から内部に至るまで建物自体がまさに美術品そのもの。吹き抜けになったエントランスには円形のホールが広がり、その奥に華麗な大階段が続く。黒みがかった大理石に金箔をふんだんに使った建物は荘厳極まりない。建物は3つのフロアからなり、展示は5部門に分かれている。
◆エントランス 吹き抜けになった円形のホール
3時から美術史博物館を巡る。入場料10ユーロ(1700円)。レンブラントやルーベンスの自画像、フェルメールの「絵画芸術の寓意」、ヤン・ブリューゲル(子)の「青い花瓶の中の花束」、ピーテル・ブリューゲル(父)の「雪の中の狩人」、「農家の婚礼」、「農民の踊り」、「バベルの塔」、ヴァン・ダイクの「祝福されたヨセフとマリアの神秘的な婚約」、コレッジオの「ガニュメデスの誘拐」、ディエゴ・ベラスケスの「バラ色のドレスの王女マルガリータ・テレーサ」などの名画、傑作の数々を観ることができて大満足。4時過ぎまで。
◆左) レンブラント「自画像」、中) ルーベンス「自画像」、右) ルーベンス
◆左)フェルメール「絵画芸術の寓意」、中)ヤン・ブリューゲル(子)「青い花瓶の中の花束」、右)ピーテル・ブリューゲル(父)「雪の中の狩人」
◆左) ピーテル・ブリューゲル(父)「農家の婚礼」1568年、中)同「農民の踊り」1568年、右)ピーテル・ブリューゲル(父)
◆左)ピーテル・ブリューゲル(父)「バベルの塔」、中) ヴァン・ダイク「祝福されたヨセフとマリアの神秘的な婚約」1630年、右) コレッジオ「ガニュメデスの誘拐」1530年
◆左)ディエゴ・ベラスケス「バラ色のドレスの王女マルガリータ・テレーサ」1653~4年頃、右) ウィーン美術史博物館展示絵画
音楽の都ウィーンには、ハプスブルグ帝国の首都として華麗な宮廷文化が開花。王家や貴族たちが優れた才能を持つ音楽家たちを庇護したことから、ウィーンにはヨーロッパ中から有力な音楽家やその卵が集まってくることになった。街中の公園や広場のあちこちに、彼らの銅像を見ることができる。
❖ヨハン・シュトラウス像
中央にウィーン川が流れる市立公園内には、噴水や池が配され、水の流れを活かしたイギリス風庭園として造られている。散歩道には様々な音楽家や画家の像が立っている。樹々が鬱蒼と繁り、公園内は驚くほど静か。
❖フランツ・シューベルト像
❖ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン像
◆ 市民公園の近く、ベートーヴェン広場にあるベートーヴェン像。ベートーヴェンは人生の半分以上をウィーンで過ごし、9曲の交響曲を始め、多くの名曲を生み出した。
❖ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト像
◆ ブルク庭園にあるモーツァルト像。像の前には季節の花がト音記号をかたどって植えられている。 オーストリアのザルツブルクで生まれたモーツァルトは、幼いころから神童と呼ばれ25歳でウィーンに移住、35歳で亡くなるまでここで活動して数々の名曲を生み出した。
オプションで「シェーンブルン宮殿コンサートの夕べ(夕食付)」に参加。22,000円の料金にフルコースのディナーかと期待したが、何とビヤホールでの夕食。野菜サラダ、大きなマスにポテトとブロッコリーのメイン。デザート。量が多すぎて参加した19名全員が食べ残した。オーストリアビール(500ml)が3.4ユーロ(580円)、ファンタが2.3ユーロ(390円)。
ウィーンの森の観光に行った人たちは修道院で土砂降りの雨に遭ったという。
◆左) ビアホールレストランでの夕食、右上) メインディッシュ、右下) デザート
バスでシェーンブルン宮殿へ。8時入場。コンサート会場は宮殿の外れの部屋を想像していたが、何と!! 1814年「会議は踊る」と諷されたウィーン会議に使われ、現代史においては1961年のケネディとフルシチョフの会談などの舞台にもなった、2階の全長43mの大広間(ギャラリー)。
◆コンサート会場は宮殿2階の大ギャラリー
◆左) コンサートのプログラム、右上) シェーンブルン宮殿コンサート会場の入り口で係の女性と、右下)コンサートの入場券 48ユーロ(8,160円)
天井はマリア・テレジア治世下の帝国版図を寓意的に描いたグレゴリオ・グリエルミのフレスコ画で覆われ、白と金の軽快な紋章のモチーフで飾られた室内は、シャンデリアの灯りに照らされている。
◆左・右上)天井はグレゴリオ・グリエルミのフレスコ画、右下) 素晴らしい会場に感激!
平面にズラーッとたくさんの椅子を並べただけの会場。前の席に体の大きい外人が座り、舞台が見えない。8時40分開演までの間、睡魔が襲ってきた。昼間に宮殿を見学したとき内部は撮影禁止だったが、夜は制限なしでゆっくり写真が撮れた。
◆いよいよ開演、美しき青きドナウやラデツキー行進曲に感動!
16人のオーケストラに、オペラとバレーに男女各1人。知らない曲が多く、睡魔は去らなかったが、「美しき青きドナウ」やアンコールの「ラデツキー行進曲」が演奏されたときには感極まって涙が出た。妻は、思ってもいなかった大広間の会場に感激していた。前半30分、後半40分。