ボヘミアの古都プラハ・ベルリンとドナウ旅情(3)
2022/09/01
旅の4日目の2007年5月24日、快晴の空のもと、9時チェコ・プラハのホテルを出発。高速道路を利用し、プラハの南東40kmにあるボヘミアの古城チェスキー・シュテルンベルク城へ。
ザヴァ川沿いの深い緑と静かな川に囲まれたチェスキー・シュテルンベルク城は、初期ゴシック様式の、チェコで最も古い城のひとつ。急な坂を上り切った断崖の上に、13世紀中頃ボヘミア王オタカル2世が狩猟の際に滞在する館として建てられた。その後、様々な改修が加えられ、17世紀には三十年戦争で大きな被害を受けて、漆喰装飾が特徴的な初期バロック様式に改装された。240年の歴史を持つシュテルンベルク家の貴族が、現在も城の非公開部分で生活を営んでいる。
9時40分、城の麓に到着。予約入城の時間待ちの間に、カメラに25コルナ(170円)、ビデオに35コルナ(240円)の撮影料を払う。地元の小学生の団体が来ている。3~4年生か、何とも可愛らしい。10時半からチェコ人ガイドの案内で城内を巡る。
◆左)チェコ人ガイドの説明を聞きながら城内を巡る、右)お城に遠足に来て入場待ちをする子供たち
城には、各時代を反映した造りの広間があり、騎士のホールの他に、礼拝堂と黄色の部屋(男性)、ピンクの部屋(女性)、図書館、銀食器がセッティングされた食堂や、フレスコ画の美しい部屋、朝食の間、パイプや銃のコレクションが展示された部屋などがある。
◆騎士の間ホール
◆左)礼拝堂、右上)図書室、右下)図書室の緑色の置物は陶器のストーブ
◆左) 朝食の間、右) ピンクの部屋(女性)
◆左) パイプのコレクション、右) 銃のコレクションと緑の陶器のストーブ
城の窓から見る風景はまるで絵画のよう。中世がそのまま息づいているような城と周辺の美しい風景から度々、映画のロケ地に選ばれている。トイレは有料で2コルナ(15円)。
11時半チェスキー・シュテルンベルク城を出発。広大な麦畑が延々と続く。高速道路を経てプラハに戻り、12時半プラハ城へ。
◆左)プラハ城、右)門の衛兵
プラハ城は、9世紀にボジヴォイ王が築いた城に始まり、ボヘミア国王カレル1世(神聖ローマ皇帝カール4世)の時代にほぼ現在の形が完成した。16世紀にハプスブルク家のルドルフ2世がプラハに宮廷を置いたことで城は栄え、全盛期を迎える。その後、宮廷をウィーンに戻したため繁栄は止まり、マリア・テレジアの時代に大改革が行われたものの衰退。1918年にチェコスロヴァキア共和国が成立すると、大統領官邸となり、現在も旧王宮の建物はチェコの大統領府となっている。
◆左) プラハ城正門と大統領公邸、右) マティアス門
城内にある1360年創業のレストランでチェコ料理の昼食。暗いどっしりとした建物はいかにも城の中という雰囲気を醸し出している。ビール70コルナ(470円)、アップルジュース40コルナ(270円)。野菜とハムのサラダ、牛肉の煮込み、デザートにアイスクリーム。これから夕方まで徒歩で観光するというのに、ビールをジョッキ3杯飲んだ人がいて驚く。365日、1日もアルコールを欠かさないというからよほど頑丈な肝臓の持ち主なのだろう。
◆左)プラハ城内のレストランで昼食、右) 牛肉の煮込みとクネドリオ(小麦粉で作った肉料理の付け合わせ)
午後、プラハ市内の観光に出発。フラチャニ広場からプラハ城正門を通り、第一中庭へ。正十字架礼拝堂前の第二中庭にはバロック様式のコール噴水がある。
◆左) 大統領公邸とプラハ城正門 フランチャニ広場、右)プラハ城第2中庭 中央に見えるのが正十字架礼拝堂、その左にあるのがバロック様式のコール噴水
高台にある城からプラハ市街を見る眺めが素晴らしい。民家の屋根々々の瓦が茶色や橙色に統一され何とも落ち着いて趣がある。いつまで眺めていても飽きることがない。
◆プラハ市街を一望するプラハ城からの眺め
プラハ城内にある聖ヴィート大聖堂は、プラハにおけるゴシック建築の大傑作。ボヘミアとチェコの守護聖人ヴァ―ツラフに捧げられ、歴代のボヘミア王の墓所になっている。
聖ヴィート大聖堂:スライドショー(横4枚、縦1枚)
聖ヴィート大聖堂内部:スライドショー(縦1枚、横5枚)
◆聖ヴィート大聖堂内部 高いヴォールト(アーチ形天井)を飾る美しいリブ
◆パイプオルガン
聖ヴィート大聖堂は、926年にロマネスク様式の教会として創設された後、1344年に改築に着工。中断と建設を繰り返しながら1956年に完成。長さ124m、幅60m、高さ33mの身廊と内陣は、採光窓やステンドグラスから差し込む光に満ちている。中央の塔の高さは96.5m。2つの塔の高さは82m。ムハ(ミュシャ)によって描かれた礼拝堂のガラス絵「聖キリルと聖メトディウス」が美しい。
◆ムハ(ミュシャ)によって描かれた礼拝堂のガラス絵「聖キリルと聖メトディウス」
正面入り口の扉の上には1927年に完成したバラ形に縁どられたステンドグラスがある。使われた色ガラスは26,740枚。
◆聖ヴィート大聖堂正面入り口の扉の上のステンドグラス
聖ヴィート大聖堂南側:スライドショー(横3枚)
◆左) プラハ城第3中庭と聖ヴィート大聖堂、右) 聖ヴィート大聖堂
旧王宮は、12世紀にボヘミア王の住居として建てられ、16世紀にハプスブルク家が王となって城に新しい宮殿を建てるまで、歴代の国王が住んでいた。
城内にある聖イジ―教会は、920年に木造の質素な教会を建てたのが始まり。973年教会の隣にボヘミア初の女子修道院を建設。今日の教会は大火災の後、1142年に再建。プラハで最も保存の良いロマネスク建築で、白い塔は、右がアダム、左がイヴと呼ばれている。
城内の「黄金の小道」は、もともとは16世紀、ルドルフ2世の時代に城の番兵を住まわせるために建てられた。「黄金の小道」と呼ばれるのは、ルドルフ2世お抱えの錬金術師たちがここで不老長寿の秘薬を作っていたという伝説に基づいている。現在は、城壁側だけに15軒ほどの家が保存されている。土産物屋や本屋など可愛い店に姿を変え、訪れる観光客で賑わっている。
黄金の小道と街灯:スライドショー(横5枚)
プラハ城から坂を下って街に入ると、トラムが目に入る。市内に網の目のように路線を張り巡らせている。
- ボヘミアの古都プラハ・ベルリンとドナウ旅情(4)に続く -