ベネルクス3国とドイツ中西部を巡る旅 ③オランダ編new

   

キューケンホフ公園のチューリップ

 

◆ベネルクス3国

 
5月8日 国境を超えベルギーからオランダ第3の都市デン・ハーグへ 

 2024年5月8日(水)午後2時28分、国境を越えてベルギーからオランダへ。晴れて15℃。高速道路は自然渋滞が続いている。

 
 4時5分、北海に面するオランダ第3の都市デン・ハーグ着。国会議事堂をはじめ政府機関、各国の大使館が集まっており、オランダの政治の中心地。

 
マウリッツハイス美術館が”ハーグの宝石箱“と呼ばれるには理由がある

 4時20分ビネンホフ(国会議事堂)の一角にあるマウリッツハイス美術館へ。ブラジル総督ヨハン・マウリッツの邸宅として17世紀に建てられた。オランダで最も美しい建物のひとつで、典雅な古典主義建築。12年前から拡張工事が行われ、2014年再開館した。

左)マウリッツハイス美術館外観、右) 同 内部

 収蔵品は15~7世紀の絵画が中心で、小規模な美術館だがオランダ・フランドル絵画の名作が揃っている。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」、「ディアナとニンフたち」、「デルフトの眺望」、レンブラントの出世作となった「テュルプ博士の解剖学講義」などを、日本語ガイドを聴きながら心ゆくまで鑑賞。平日で入館者も少ない。
 他にもルーベンス、ファン・アイク、ヤン・ステーンなどの見逃せない作品が揃っている。

左)真珠の耳飾りの少女(フェルメール)、右上) ディアナとニンフたち(同)、右下) デルフトの眺望(同)

左上) テュルプ博士の解剖学講義(レンブラント)、右)自画像(同)、左下)親に倣って子も歌う(ヤン・ステーン)

 
オランダ行政の中心、歴史ある建造物が建ちならぶビネンホフ

 13世紀に建てられた「騎士の館」と呼ばれる国会議事堂は、左右2本の塔をもったレンガ造り。こじんまりとしているが威厳をたたえている。ビネンホフには、17世紀にかけて建てられた由緒ある建物が集まる。ホフフェイファの池越しに眺めるビネンホフは重厚で落ち着いた雰囲気を醸し出しており、来る度に見とれてしまう。

左) ビネンホフ騎士の館(国会議事堂)、右上と右下) ビネンホフの街並み

左) ホフフェイの池越しに見るビネンホフ、右) ビネンホフ近くの公園に並ぶ屋台の店

 
北海に面したリゾート地スフェーヘニンゲンへ

 6時前出発。ほどなく平和宮(国際司法裁判所)を左手側に見る。オランダの町や村、独特な形の家々、山がなくどこまでも広がる平坦な大地… 車窓を過ぎる懐かしい風景をぼんやり眺める至福の時間。6時20分、北海を目の前にしたリゾート地スフェーヘニンゲンへ。

◆平和宮(国際司法裁判所)

 
 もとはハーグ郊外の漁村だったが、海のリゾートとして発展し、近年オランダで1、2を争う夏の観光地になっている。海岸に沿って豪華なホテルやレストラン、カフェ、土産物屋などが軒を連ねている。

海のリゾート地 スフェーヘニンゲン

 海を眺めながらの夕食。太陽がまぶしい。ボリュームたっぷりの鮭のムニエル。大皿に盛られた野菜サラダやポテトは、同席の4人でシェアー。オニオンスープはうす味で美味しい。
白ワインが5.5ユーロ(950円)、アップルジュース3.25ユーロ(560円)。

左) 鮭のムニエルの夕食、右) 夕陽を浴びて輝く北海

 北海は夏でも水温が低く風が冷たいので、ほとんどの人は泳ぐことなく、水遊びと日光浴を楽しむ。8時出発。8時35分アムステルダムのスキポール空港近くのホテル着。今日1日の歩数は10,905で7.6km。

 
5月9日 700万株の花々が咲き競う世界最大の花の公園

 アムステルダムは快晴の朝を迎え、気温は9℃。旅の疲れがたまりよく眠れた。6時半朝食。部屋に戻ろうとして迷い、掃除のおばさんに案内してもらうことに。こんなことは滅多にないのだが…。

 7時半ホテル出発。20分でリッセ着。8時のオープンと同時にキューケンホフ公園入場。32万㎡の敷地内にはチューリップを中心に700万株以上の植物が植えられ、3月半ばから5月半ばまで期間限定で開かれる世界最大の花の公園。キューケンホフとはオランダ語で「台所公園」、「キッチンガーデン」のこと。1949年開園。春には世界中から観光客が訪れる。

キューケンホフ公園

左) 風車と木靴、右) 真下から見た風車

 2009年4月に来た時はほとんどのチューリップが花の盛りで、それはきれいだったが、今回は多くが萎れかけていて落胆。植物温室で解散、フリータイムとなる。

 さまざまな形の花壇とその間を縫うように配置された遊歩道を通り、風車や池の中の水中飛び石など娘や孫たちと巡った想い出のスポットを見て回る。開花時期が少しずつずれるように球根が植えられ、いつでもきれいなチューリップが見られる工夫が凝らされている。今が見頃のチューリップやつつじ、スイセン、シャクヤクなどの花々を楽しむ。

【スライドショー】キューケンホフ公園のチューリップ

左) チューリップと風車、右) 木靴を履いてみた

【スライドショー】キューケンホフ公園

キューケンホフ公園のシャクナゲ

 庭に植えようとチューリップの球根や花の種を買う。セットになっていて2つで15ユーロ(2,600円)。バスのドライバーと記念の写真を撮る。

左) 池の中の水中飛び石、右) バスのドライバーと

 公園の周りには色とりどりのチューリップ畑がどこまでも広がっている。これらはすべて球根を採るために栽培している。我々が行った時、花はすべて摘み取られていた。チューリップ農家の私有地なので、勝手に入ることはできない。因みにオランダは世界最大の花卉輸出国。

 
 10時15分出発。11時アムステルダム着。雲が広がって来た。歩き始めてすぐアムステルダム中央駅に出る。1889年に完成したネオルネサンス様式のレンガ造りの建物。東京駅のモデルになったことで知られる。アムステルダムの陸の玄関口。オランダ国鉄、ヨーロッパ交通の拠点となっている。建物正面向かって右の塔に時計、左に風向計が取り付けられている。駅前にはトラムやバス、クルーズ船の発着場が集中している。オランダの祝日なのか? たくさんの人で溢れている。

左) アムステルダ中央駅、右) 運河クルーズ船

 オランダ人にとってボートや自転車は生活の一部。なくてはならない交通手段となっている。観光客のためには運河クルーズ船や貸自転車が用意されている。

 
行きかうクルーズ船、マヘレの跳ね橋をくぐりぬける航路が楽しい

 11時半運河クルーズ船が中央駅前を出発。クルーズ船に乗るのは2度目。運河沿いにびっしりと隙間なく建ち並ぶ建物。軟弱地盤で傾いた建物も多い。アムステルダム独特の眺めを楽しむ。運河に浮かぶボート・ハウスも数多く見られ、懐かしい。今も残る木造の白いマヘレの跳ね橋をくぐり抜けて、たくさんのクルーズ船とすれ違う。船の天井が空いていて、陽が当たると暑い。逆に日陰は寒いくらい。運河の水は土色だが、水質はよく夏には泳ぐ人もけっこういる。1時間の予定が20分オーバーして、12時50分、船着き場に戻る。

左) マヘレの跳ね橋、右) クルーズ船からの眺め

【スライドショー】クルーズ船からの眺め

 1時過ぎ、アムステルダム中央駅舎2階のレストランで昼食。オランダ料理エルテンスープとヒッツポット(豚の肉団子とジャガイモ)。エルテンスープは農業王国オランダの代表的スープで、メインの材料は乾燥したえんどう豆。この豆をベースに玉ねぎ、ジャガイモ、セロリ、豚肉、ソーセージなどを入れて豆と野菜が煮崩れるまで煮込んで仕上げる。盛り付けたエルテンスープにスプーンを真っすぐ立てられるくらいの濃さがベストといわれている。
 ちょっと高級なレストランには古伊万里か、大きな壺がいくつも飾られている。

左) アムステルダ中央駅ホーム、中) 昼食ヒッツポット、右) 古伊万里?の壺など

アムステルダム市内

 
ヨーロッパ最古の博物館で数々の名作に酔いしれる

 2時半、日本人女性ガイドの案内で国立博物館を巡る。オランダ最大の博物館。1885年、現在の場所に開館。アムステルダ中央駅を手掛けた建築家カイペルスの手になり、博物館目的として建てられたものではヨーロッパ最古のもの。中央駅と見間違えるほどよく似ている。2004年より大規模な改修が行われ、2013年4月ベアトリクス女王により開館。新しくなった館を訪れるのは初めてとなる。

左) アムステルダム国立博物館、右) 同 内部 

 レンブラントの「夜警」、「ユダヤの花嫁」、「布地商組合の見本調査官たち」、「自画像」やフェルメールの「牛乳を注ぐ女」、「小路」、「手紙を読む青衣の女」、「恋文」の前は黒山の人、人、人。写真を撮るのに一苦労。前に来た時は平日でゆっくり観られたのだが。
 フリータイムは、17世紀オランダ絵画全盛期のフランス・ハルスやヤン・ステーン、ヘンドリック・アーフェルカンプ、ファン・ライスダールなどの作品群、レンブラント、フェルメールの見直しに費やす。4時前に出る。

左) 夜警(レンブラント)、右上) ユダヤの花嫁(同)、右下) 布地商組合の見本調査官(同)

左)レンブラント自画像、中) 小路(フェルメール)、右) 恋文(フェルメール)

左) 牛乳を注ぐ女(フェルメール)、右) 手紙を読む青衣の女(同)

 4時過ぎから隣接するCOSTERダイヤモンド工場へ。最高級品は輝きが違う。0.1カラットが免税価格で5万4千円。一番いい品になると2,400万円。

左) COSTERダイヤモンド工場、右上と右下) アムステルダム市内

 6時前、中央駅南側のレストランへ。トマトスープ、チキンフィレカツ、デザートがアイスクリームの夕食。ピルスナービール250mlが4ユーロ(690円)、アップルジュース5ユーロ(870円)。同席したご夫婦の奥さん、旅に出てから扁桃腺を痛め、ほとんど食事がとれないという。折角の旅が‥‥。
 7時前に出る。港から巨大なクルーズ船が出航するところ。7時半ホテル帰着。

左) アムステルダム中央駅と運河クルーズ船発着場、右) アムステルダム港を出港する大型クルーズ船

5月10日、旅の最終日に思わぬハプニングでバタバタ

 5月10日(金)旅の最終日、アムステルダは雲ひとつなく晴れ上がり、気温は9℃。旅の疲れと寝不足でよく眠れたがまだまだ寝足りない。7時半、朝食。

 9時15分ホテル出発。8分でスキポール空港着。自動チェックイン機、添乗員と現地の案内人ともに操作を誤り、機械が作動しなくなって地上係員のいるカウンターへ。長い長い列が続いている。搭乗まで免税店などでゆっくり過ごせるはずだったが、すっかりペースが狂ってしまった。何故か手荷物検査でもブザーが鳴り、身体チェックを受けることに。出国審査の後、慌ただしく免税店でお土産のチョコレートを買う。

 空港内で買ったサンドウィッチとジュースの軽食をとり、1時半、KLMオランダ航空867便に搭乗。予定を 40分近く遅れて2時離陸。往路便より2時間短い12時間18分のフライト。機内食をとる時間以外はほとんど眠って過ごす。年のせいか、僅か8日間の旅なのに疲れ果ててしまった。

 5月11日(土)、予定より35分遅れて9時25分関西空港着陸。よく晴れて思いのほか涼しい。

― 了 —

 

 

 

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