ハワイの想い出(1)
2022/09/01
寿禄会の還暦記念ハワイ旅行に妻と参加したのは、2006年2月初旬のこと。初めて訪れたハワイは思っていた以上に素晴らしく、是非また来たいと思わせる魅力に溢れていた。
◆寿禄会・還暦記念ハワイ旅行(2006年2月初旬)
その年の秋、大学で認知心理学を研究する義理の息子がホノルルで開かれる学会に参加し、東京に住む長女と4歳になる孫も同行することになった。ハワイ熱が冷めないうちにと娘一家の滞在時期に合わせて、2006年11月下旬妻、次女とともに再びハワイの地を踏んだ。
家族6人揃っての旅を、時に寿禄会の記念旅行を交えながら綴ってみたい。
出発が20日後に迫った11月5日(日) 、旅行のキャンセルもやむなしと思わせるトラブルが発生する。次女が趣味のソフトボールの試合で、2塁ベースカバーに入ろうとして走者と交錯、左足のくるぶしを骨折してしまった。翌日、足は丸太棒のように腫れあがり、ギブス固定は後日腫れがひいてからというひどい状態だった。
ところが、左足なので運転には支障がないと、次女は翌日から車で出勤。松葉杖で歩行できるのでハワイにも行くと事もなげに言う。離れて住む姉家族といっしょに行ける機会は2度とないかもしれないとの強い思いもあったのだろう。
11月25日、搭乗手続きを済ませた後、寒さ除けに着てきて不要になった上着を入れようとしたら、経年劣化したスーツケースが壊れてしまった。急遽買い求めたスーツケースを人前で広げて、中身をすべて入れ替えるというドタバタがあったが、無事出国。ギブス固定の脚のおかげで優先搭乗でき、前が広く空いた席に替えてもらえた。夜9時過ぎ、ノースウエスト航空便が関西空港を離陸。
2月から機内サービスのアルコール類は有料となり、チリ産の白ワインが5ドル(ドル=118.2円)か500円。食事の時と合わせて2本飲んだので 1,000円の余分な出費となる。不味かった記憶がある機内食は可もなく不可もなし。毛布1枚では寒くてあまり眠れないまま、同日の朝9時着陸(時差は-19時間)。ホノルルはよく晴れて、気温23℃。
アロハ航空便に乗り継いで、ハワイ島のコナに向けて11時半出発。12時、ビッグアイランドの愛称をもつハワイ諸島最大の島に到着。青森県や岐阜県とほぼ同じ面積、沖縄本島に比べると約8倍の広さがある。
ハワイ諸島では一番東にあり、火山活動が最も盛んで、西にいくほど大人しくなる。
今なお活動中のキラウエア火山はじめ、4つの火山はそれぞれ広大な裾野をもつ。4,205mの高山マウナケアより東側は多雨で、熱帯雨林が生い繁る。西側は乾燥地帯で、流れ出た溶岩が至る所でむき出しになった荒涼とした大地が広がる。東側には落差300mの滝をはじめ大小いくつもの滝がある。川は泥水。変化に富み、手つかずのダイナミックな自然が魅力の島。カメハメハ大王の出身地でもあり、王家ゆかりの史跡も多い。
次女は松葉杖でタラップを降りるのに一苦労。大相撲の小錦クラスの人が何人もいて驚く。その太りようは並みではない。
寿禄会旅行のとき、日帰りでハワイ島に行くオプションがあったが、早朝5時出発、深夜帰着の行程だったので、参加したのは24名中杵島君と太田さん母子3人だけだったように思う。
大きなセダンに3人のみ。道路沿いには赤、ピンク、紫、白、橙、色とりどりのブーゲンビリアが咲き乱れている。溶岩の黒く荒れた大地と対照的。コナの小さな町に入り、町一番の賑やかな通りを走る。テントを張ったマーケットを散策。貝の細工や民芸品、果物、ランの花などの店が並んでいる。
◆左) ブーゲンビリアの花、中)右) コナの町のフリーマーケットのランの花
◆左)コナの町のフリーマーケット、右) 同 民芸品の店
1時半海沿いのレストランへ。チキンサラダ、ピザは辛くて、甘く、口に合わず。
2時半、ホテルに入る。近くの海には亀が住むという。早速、少し離れた岩の上に6~7匹の亀が甲羅を干しているのを発見。思いの他、豪華なリゾートホテル。眼下の海には色鮮やかな熱帯魚が泳いでいる。遠くコナの町の中心部の沖には巨大なクルーズ船が停泊している。
◆左)ホテルに迫る海岸、右)ホテル近くの海岸で甲羅干しをする亀
◆ホテルのプール
◆ホテルのベランダから
ホテルの周辺を散策。ネイティブの人たちの結婚式でたくさんの人。
4時、無料の巡回バスでショッピングセンターへ。コナコーヒーを土産に買う。民芸品の店を覗き、帰りのバスでぐるりと一周して、思わぬ観光ができた。5時過ぎホテルに戻り、海岸近くへ。5時43分、太陽が完全に海に没するまでサンセットを楽しむ。結婚式が終わった一行はリムジンに分乗して、パーティーにでも行くらしい。小鳥の群れが近くのねぐらに帰って来て、何とも喧しい。
◆左) ショッピングセンター等を巡る無料バス、右) 結婚式を終えた人たちがリムジンに分乗してパーティー会場へ
◆ホテル近くの海岸で見るサンセット
6時半、野菜サラダ、スープにステーキの夕食。コナの地ビールを飲む。初めての味。6ドル+チップ1ドルで7ドル(830円)。ハワイの料理は、香辛料か材料のせいかいま二つくらい。デザートのチーズケーキも甘すぎて残してしまう。期待していた星空は、日本で見るのと変わらず落胆。
8時半、日本人ガイドの案内で星空ウォッチングへ。宿から5分ほど歩いた所に大きな天体望遠鏡が設置されていた。月の小さなクレーターまでくっきり見えて驚く。М45星雲や230万光年離れたアンドロメダ星雲などを見る。天気が良くラッキーだった。
ガイドがパソコンを使い、生年月日から希望者の星座をチェックしてくれた。1945年8月8日生まれの私は、今まで獅子座とばかり思っていたが、蟹座が正しいという。妻は天秤座のはずが乙女座と言われた。1時間、大空のショーを楽しみホテルに戻る。長い1日で、さすがに疲れた。
旅の2日目の11月26日、小鳥たちの喧しい鳴き声に目が覚める。曇り空。美しい海と空を眺めながらの朝食。7時半出発。バスはフォーシーズンズ・リゾートやヒルトンなどいくつかのホテルを回り、ハワイ島一周観光ツァーの乗客は合計45名となる。
9時40分、海抜8~900mで高山気候帯に属するハワイ島第3の町ワイメア着。個人所有としては全米で最大規模を誇るパーカー牧場へ。面積は東京23区の1.8倍に達する。パニオロ(カウボーイ)の町として知られる。
◆カウボーイの町ワイメア
10時40分過ぎ、東海岸にあるハワイ島最大の町で政治・経済の中心地ヒロへ。人口4万5千人。日系移民が多く、町全体にどこか懐かしい雰囲気が漂う。日本人墓地を見た時は、1世、2世の苦労が偲ばれ思わず目頭が熱くなった。
ヒロのダウンタウンから10分ほど離れた虹の滝へ。写真休憩。落差24m、時折虹が見られる美しい滝。滝つぼの下の洞窟には、月の女神ヒナが住んでいるといわれている。
◆虹の滝
州木のキャンドルナッツやトポスの大きな木がある。マウナ・ロア・アカデミアンナッツ農園に寄り、チョコレートを買う。どんより曇って蒸し暑い。
◆左)ハワイの州木キャンドルナッツ(ククイ)、中) トポスの巨木、右) チョコレート工場
ナニ・マウ・ガーデン(いつまでも美しい庭)で昼食。少し前にホノルルに着いているはずの長女にレンタルの携帯電話で連絡を取ろうとするが繋がらない。
老人が次女に話しかけてきた。
私を指して「Your husband?」
「Oh! No my father」
◆左) ハイビスカスの花を胸に、右) ハイビスカスの花
1時、赤塚オーキッド・ファーム(ラン園)へ。女性はランの花を髪につけて写真を撮る。未婚者は右に、既婚者は左に花をつけるという。
◆左) 赤塚オーキッドファーム(ラン園)未婚者は右に、既婚者は左にランの花をつける、中)右)ランの花
1時20分、キラウエア国立公園に入る。キラウエア火山は世界遺産に登録され、地球上で最も活発な火山の一つ。ところどころ白い噴煙が出ている。5分ほどで火口展望台のあるジャガーミュージアムへ。遥かかなたに火口全体が見える。黒い雲がかかってマウナケア山は稜線だけが見え、太平洋上最高峰の頂上は望めず。山頂は世界有数の天体観測地として知られ、日本の国立天文台「すばる」もある。
◆左) ボルケーノ国立公園 トーマス・ジャガー・ミュージアム(火山博物館)入口、
右) キラウエア火山噴火口の全景 標高1,248m
火口直近のハレマウマウへ向かう。2時過ぎ、火口へ。ここまで近寄って見られるとは思わず、大自然の雄大さに感動。
◆左) 展望台(右手)から噴火口を望む、右) 噴火口の上、中央右寄りにバスが小さく見える
◆噴火口
ハレマウマウ 間近に見える噴火口:スライドショー(横5枚)
次女はごつごつとした足場の悪い溶岩の道を往復32分、松葉杖でよく歩いた。1982年の噴火で流れ出た溶岩の上で写真を撮る。
◆左) 噴火口への溶岩の凸凹道を松葉杖で歩く次女、中)右) 1982年9月の噴火で流れ出た溶岩の上で
45分走って3時20分プナルウ黒砂海岸へ。移動中に小雨が降る。海に流れ込んだ熔岩が急激に冷え込んだため砕けてできた黒砂のビーチ。
◆ハワイ島南部プルナウ黒砂海岸
◆左)中) 黒い溶岩で覆われた海岸、右) 風が強く波も荒い
甲羅干しのアオウミガメが砂浜に寝そべっている。ハワイの州法で半径4.5m以内に近づいてはいけないので、離れた所から眺めるだけ。
◆左) 気持ちよさそうに眠る亀、中)右) ハワイの州法で亀の4.5m以内には近づけない
4時50分、ロイヤル・コナコーヒー園へ。酸味が最大の魅力になっているコナコーヒー。ハワイ島コナ地区の農地でだけ栽培されている。希少価値が高く、キリマンジャロ、モカと並び世界最高品質のコーヒーといわれる。100%コナコーヒー200gが20ドル(2,360円)。一帯30㎞ほどがコナコーヒーの栽培地。海抜は2~800m。気候、雨量などが最適という。コーヒーの木から赤い実を2~3粒もいで、ほおばる。甘味が口いっぱいに広がる。ここは1778年キャプテンクックが上陸した地点。
◆左) コナコーヒーの博物館、中)右) コナコーヒー農園
◆左) マウナケア山(4,205m)の稜線が海へなだらかにつながっている。
キャプテンクックが1778年に上陸した地点、右) ホテルから見る夕暮れの海岸
5時50分、ホテル帰着。長女から電話が入り、無事に着いたという。孫も元気とのことで一安心。一日松葉杖で歩き回った次女、足はむくんでいないが、掌が痛いという。6時半、シーフードの夕食。コナの地ビール、野菜サラダ、エビ、ズワイガニ、焼き魚とご飯。デザートはアイスクリームとコーヒー。まあまあの味。
ギフトショップで記念の土産を買った後、芝生のベンチに腰掛けて月や星空を眺める。夜になって晴れてきた。
◆左) 中) 鳥の羽根で作られた王様の装身具、右) 1本の木で作られたカヌー
- ハワイの想い出(2)に続く -