ドクター順子の人生処方箋 気になるアノコト、僕ってどうなの?

      2019/05/01

 

 ほぼ1年近く、HPへの投稿をさぼっていたようです。しばらくの御無沙汰でしたが、今回はシモの話に触れながら睡眠の話を進めてみたいと思います。

よつば2 気になる気になる、あいつはどうなの?

 われわれ16回生はこの3月過ぎれば全員が73歳以上です。脳ではニューロンや神経伝達物質なるものが減ってネットワークがユルユル、認知症もチラチラ、心臓や血管といった循環機能もヨレヨレ、筋肉量も減ってヨボヨボ、骨もボロボロ、老眼、白内障、難聴といった感覚機能がボケボケ、平衡感覚の衰えでフラフラ、バタバタ転倒してしまう、など、全身ガタガタ状態では自分の身体を維持するのがやっと、なのに、何がセックスだ!なんていう人が、ほとんどかもしれませんね。

 昔から「ハ・メ・マラ」なんて言いますが、男性では老化現象をいち早く気付かされるのが「マラ」のようです。ED(Erectile Dysfunction)すなわち、勃起不全の現象です。
 性機能を持続できているかどうかは、殿方にとっては男としてのステイタスシンボルとか。そういえば必ずと言っていいほど、男同士の飲み会で話題になるのがこのテーマ、「まだ立つ?」なんて、同輩の‘もの’を知りたいようですね。

よつば2 睡眠中の下半身の変化をご存知?

 睡眠にはレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)の二種類があり、この二つの睡眠が一晩に交互に繰り返されます。

 レム睡眠は一晩の睡眠中に90分周期で3~4回は出現します。誰にでも見られる睡眠です。ちなみにレムとはREM、Rapid Eye Movement(急速眼球運動)のことで、閉じている眼球の下では瞳孔が回転したり左右に動いたりしているのです。
 なぜ、眼球が速く動くのか? それは夢を見ているからです。脳に浮かんだ画像を自分の眼で追いかけている、これが夢なのです。

 夢を見ている睡眠期、それがレム睡眠ですが、実はレム睡眠が起こらないと熟睡感は感じられません。加えて、このレム睡眠時の特徴として、呼吸や血圧が大きく変動する現象に加え、男性ではペニスの勃起、女性ではクリトリスの体温上昇がみられることが知られています。ペニスが勃起するからといって決してエッチな夢を見ているわけではありませんので、念のために。

 睡眠にはレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)の二種類があり、この二つの睡眠が一晩に交互に繰り返されます。< 歳をとったら「よく眠れない」、「熟睡感がない」、「夢を見ない」など聞かれますが、実はこのレム睡眠の出方が悪くなっているのです。若い男性や健康な男性では、レム睡眠は朝の明け方、眼が覚める直前にもっともよく起こるといいますが、高齢者ではそれがみられなくなります。/span>

よつば2 いい日○○立ち!?

 「朝、眼が覚める前に立った!」という経験、「若い頃には普通にあったんだけど歳とってからはなくなってしまった」というのが実態でしょうか。皆さまの中に「まだ今でも起こるよ」と言う方がいれば、これは素晴らしい! 男としての可能性を十分秘めているということです。
 そういえば、亡くなった連れ合いが「いい日旅立ち、ならぬ、いい日朝立ちだ!」「今日は元気ハツラツ!」なんて、言っていたことを想い出します。

 このレム睡眠時の勃起の有無は、実は男性の性機能の目安ともなるのです。年齢に応じた夜間睡眠時の勃起能変化を測定した実験を紹介しましょう。
 ペニス周囲の最大増加値の平均は20歳代が35.7mmであるのに対して70歳代では17.4 mmと半分以下となっています。でも思春期で19.9mmですので、かなりまだいい線かもしれませんね! ちなみに30歳代31.2、40歳代29.1、50歳代27.4、60歳代21.2と徐々に低下していきます。(データは、熊本悦郎、「高齢者にみる性行動の実態」より)

 さてさて、自分はレム睡眠時にどうなっているんだろう?と心配している方、簡単に図る方法として「スタンプ法」というのがありますので、知りたい方は個人的にお教えしますよ…。

よつば2 スキンシップで生涯現役!

 昨年の寿禄会での近況報告では、高血圧、糖尿病、前立腺肥大などに悩んでいる、薬を何種類も飲んでいる、など言われる方が多かったようですが、そうなるともちろん性への意欲や機能そのものの低下は免れないし、「セックスなんてとんでもない!」など言われるかもしれません。

 もちろん、まずは病状回復と健康維持に努めるのが先決ではありますが、性機能維持もQOL(Quolity of Life、生活の質)向上に欠かせないという考えの方は薬やサプリメントの服用で十分に勃起改善効果があるようです。試してみる価値はありそうですが、でも、とりあえずは食生活の改善、日常的な運動の取り入れ、これから始めてみたいものです。

 もっとも同年齢期の女性側からしてみれば、勃起の有無や程度はあまり関係ないということを女性代表として言いたいものです。

 以前にも書きましたが、社会的なつながりが減っている高齢者にとっては、家庭内でのつながり、特にスキンシップなどによる連れ合いとの日常的な親密な関係が非常に大事であり、それがQOLの向上にも影響を与えると言われています。

 肌の触れ合いやマッサージなどのスキンシップがコミュニケーション手段となり、その結果、大脳皮質を刺激することにも繋がり、脳全体が活性化されることになります。ひいてはボケ防止にもなるのです。また、愛情表現として生活そのもののアクセントにもなり、潤いを与えてくれそうですね。(独り身の私が言うにはあまり説得力はないかもしれませんが…)

 結論として何を言いたいかと言うと、歳をとってくれば生理機能が低下するのは当然のこと、がっかりすることなく、現実を受け入れて上手く付き合っていくことが大事なのかもしれません。
加齢によっていろんな生理機能が減退していきますが、呼吸器系や消化器系の機能はそれほど大きく減退することはないようですので、それなりに残りの人生を楽しみたいものです。

H31.2.19  舞鶴城の紅梅を遠くに眺めながら 順子

 

 

 

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