カメラ編愛の記 ②ニコンの世界 映画「あじさいの歌」とニコンFnew

   

日本のカメラ技術の高さを世界に知らしめた「ニコンF」

 あれやこれやとカメラを扱い回している内に、仲間のカメラ「ニコンF」が気になった。このカメラは極めてシャープで解像度が高く色再現性にすぐれ、世界中から絶賛を浴びていた。プロカメラマンはこぞってニコンFを使用した。ドイツで最も高価なカメラを買って帰ったら、実は日本のカメラだったというエピソードもある。欲しかったが手が出なかった。

 「ニコンF」についてウィキペディアは次のように紹介している。

 ■ニコンF

 「ニコンF」は1959年に登場した日本光学工業(現ニコン)初の本格的な35ミリ一眼レフカメラである。小型カメラの潮流が、世界的にレンジファインダーカメラから一眼レフに移行しつつあった中、その最終段階に登場したのがニコンFであった。1960年代から多くのプロカメラマンに愛用され、東京オリンピックやベトナム戦争の報道でも活躍、アポロ15号などNASAの宇宙開発にも採用された。完成度・信頼性・堅牢性が高く、『アサヒカメラ』(1959年9月号)には「従来の35ミリ一眼レフカメラに要望したことは、ほとんど全てが実現された」との記述がある。発売時の小売価格6万7千円(レンズ付き)は、当時の新聞社社員の給与3か月分であった。                  ※ウィキペディアより

往年の青春映画を彩った「ニコンF」

◆1960年日活『あじさいの歌』滝沢英輔監督

 さて、今回はこの歴史的な名器「ニコンF」が重要な小道具として使われた映画を紹介しよう。日活の往年の青春映画『あじさいの歌』、石原裕次郎演じる主人公と、頑迷な父親によって屋敷内に閉じ込められた旧家の娘との通い合う心を描いた物語。彼の爽やかな行動が温かい春風となって、古い因習にとらわれた人々の心を解かしていく。

 芦川いづみ演ずる旧家の娘の清楚な美しさに心奪われた主人公は、邸内に咲くあじさいをバックに彼女の写真を撮るのだが…。そのカメラがニコンFである(ポスターで裕次郎が手にしているカメラ)。裕次郎が切ったシャッター音を、私は今も鮮やかに覚えている。60/1秒だった。

 石原裕次郎が映画の中で手にした「ニコンF」は、今も現役で東京の収集家が所有しているとのことだ。

 

 

 

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