――「コニカS2」は1961年(昭和36年)の発売、発売価格は2万4,800円であった。1961年と言えば、日本人が一生懸命働きながら、少しずつ可処分所得を増やしていった時代である。池田勇人首相の所得倍増計画がスタートし、日本は経済先進国の仲間入りを本気で目指すようになった。しかし、国立大学を卒業してそのまま大手企業に入社した者でも、その初任給は2万円もない。そんな中でコニカS2の2万4,800円という発売価格は、とても衝動買いできるレベルではなかった。コニカS2を買うために、月2,000円の貯金を1年間続ける。カメラとは、そういうものだった――。
※写真・文ともに雑誌「和楽」より引用。