これなんやろか 第6回 ブルー & パープル

      2023/07/29

正解は ハルリンドウでした。

 小田 紘

 今回は青色や紫色系の花です。

 

 撮影:2019年3月

 小指の先ほどの小さな花です。タイトルの写真は2007年4月に霧島山系のえびの高原で撮りました。ハルリンドウという名前はすぐに分かりましたが,えびの高原で見つけたということに引っぱられて,この花は高原にだけ生息するものだという思い込みを持っていました。しかし最近そうではないことが分かりました。何処にでもあるという程ではありませんが,低地にも咲いていることを知りました。この写真は鹿児島市郊外の草むらで見つけたものです。

 撮影:2007年3月
 撮影:2018年4月

 青い小さな花がツクシの周りに点々と映り込んでいました。図鑑を見てオオイヌノフグリという名前は分かったのですが,何故このような命名がされたのかがずっと疑問でした。「ふぐり」とは男性のタマタマのことですが,この花からは連想できなかったからです。しかし,ある図鑑で果実のスケッチをみつけ疑問は一挙に解消しました。2個でペアをなしている果実の形はまさにタマタマそのものです。そこで,過去の写真の中にこの果実が偶然に写っていないかと探してみましたが,残念ながら見つかりませんでした。実物の写真が撮れたらすぐに報告いたします。

 
 撮影:2022年4月

 公園の花壇で満開を迎えたネモフィラです。一面に広がる水色の絨毯は壮観でした。ところで,よく見るとこの花はオオイヌノフグリの花とよく似ています。この花の和名はルリカラクサ(瑠璃唐草)ですが,面白いことに,オオイヌノフグリについても別名の一つに瑠璃唐草というのがあります。どうやら,江戸時代には西洋から渡来した帰化植物を一般に「唐草」とよぶことがあり,オオイヌノフグリも青い色の唐草ということから瑠璃唐草という別名がついたということのようです。ちなみに,オオイヌノフグリは明治時代の初期に西洋から渡来した帰化植物だそうです。

 撮影:2008年7月
 撮影:2015年7月

 かなり知名度の高い花だと思います。そして多くの人が「好きな花ランキング」の上位にあげるのではないでしょうか。日本では古くから親しまれ,万葉集にも読まれているそうです。群生している花もきれいですが,私はクローズアップした写真を見ながら造形の巧みさを楽しんでいます。

 
 撮影:2014年3月
 撮影:2015年4月

 誰もが知っている最も身近な野草です。一目ですぐ分かる花ですが,スミレには大変多くの種類があるようです。図鑑などには「◯◯スミレ」と称するものがたくさんあげられています。しかしスミレに対して私は極めて大雑把で,様々な種類があることは承知の上で全てを「スミレ」とひとまとめにしています。これまでに撮ってきたスミレの写真はたいそうな数になります。

 

 撮影:2004年11月

 マツムシソウの花を初めて見たのは1965年,大学2年のときです。背振登山からの帰り道,中腹の草むらにひっそりと咲いている姿を目にして深い感動を覚えました。同行者のなかに花の達人がいて「マツムシソウ」という名を教えてくれました。私が花に関心をもつようになったきっかけであったかも知れません。そのとき見たのは日本の固有種である野生のマツムシソウでしたが,ここにあげている写真はスカビオサという園芸種で,正しくは「西洋マツムシソウ」という花です。園芸店で買い求め,ベランダの植木鉢で咲かせたものです。洗練された華やかさはありますが,日本固有の野生種がもつ素朴で気高い美しさとはだいぶ違います。
 野生のマツムシソウとは58年前に初めて出会ったのを最後に,今日に至るまで再会はありません。記憶の中だけに咲く特別な存在です。

 

 

 

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