An die Freude(歓喜に寄す)/シラー
おお友よ、この調べではない!
これではなく、もっと快い、
歓びに満ちた調べにともに声を合わせよう。
歓喜よ、美しい神々の火花よ、
天上の楽園の乙女たちよ!
私たちは情熱の中に酔いしれて、
崇高なあなたの聖所に足を踏み入れる。
何と神々しい!
この世の習わしが厳しく分け隔てたものを、
あなたの聖なる偉力が再び結び合わせる…
あなたの穏やかにたゆたう翼のもと、
すべての人々は兄弟となる。
―― 略 ――
この世のあらゆるものは、自然の乳房から
歓喜を享受する。善人も悪人もすべての人が
薔薇色の小径を辿る。
自然は私たちに口づけと葡萄と、
死をも分かち得る一人の友をもたらし、
虫けらには快楽が与えられ、
天使ケルビムは嬉々として神の御前に立つ。
歓べ歓べ!
陽光に満ちた大空を駆けるように。
天空の壮麗な広野を飛び交い、
走れ兄弟よ、君たち自身の道を。
晴々と勝利に進む勇者のように。
抱き合うがいい、数百万の人々よ。
この口づけを全世界に。
兄弟よ! 星々が煌めく世界に、
大いなる父が必ずいらっしゃる。
ひざまずいているか、数百万の人々よ。
創造主の存在を、信じるか世界よ。
星々のかなたにその人を訪ねよ。
星々のきらめく天蓋の上に、
必ずやその人はいらっしゃる!